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令和2年度 入試雑感

新国語問題集編集委員による、令和2年度の入試傾向分析です。
第51集の解説書巻末に掲載しています。
過去の入試雑感はこちら

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入試雑感

※以下は、入試雑感の内容を弊社編集部員が簡潔にまとめ、コメントしたものです。
【小説】
  • ①小説のテーマとして、理不尽なものへの怒りが描かれている作品が多かった。
  • 10『家族連写』森浩美(筑波大):
     貧困に苦しみ卑屈になっていく少年が、先生の優しさに触れ、心を開く様子を描いた小説。→「貧困への怒り」
  • 11『うけとり』木山捷平(岡山大):
     初恋を描いた小説。岩助とセイの淡い恋心も知らずに校長が高説を垂れる場面。→「無理解な教師への怒り」
  • 13『五十鈴川の鴨』竹西寛子(広島大):
     被爆者であった亡き友人の本心に触れ、「私」がやり場のない思いを抱く場面。→「原爆への怒り」
  • 14『バナナの皮』島木健作(大阪大):
     田舎紳士が社会正義を体現しているかのように残虐なまでに囚人をいたぶる場面。→「弱い者をなぶる人間への怒り」

  • ②随想のテーマとして、文学への志向が強い出題が目立った。
  • 12『となり町の山車のように』須賀敦子(東北大):
     文学が生まれる契機を鮮やかに描く。
  • 15『井伏鱒二の生活と意見』小山清(京都大):
     文学者の人となりと表現との関わりが述べられている。
  • 16『詩を考える』谷川俊太郎(東京大):
     詩が生まれる瞬間の作者の実感が描かれている。
【評論】
  • 現代社会が抱える問題と深く関わる文章の出題が目立った。
  • A.「平等」について述べた文章
  • 19『歴史にこだわる社会学』犬飼裕一(名古屋大):
     平等の理念のもとで、平等と均一を混同し、人間を交換可能な部品として社会に隷属させた近代社会の矛盾の考察。
  • 25『神の亡霊6 近代の原罪』小坂井敏晶(東京大):
     機会均等と自由競争による平等を建前として、現実の格差を隠蔽する近代社会の欺瞞に対する批判。

  • B.行き過ぎた情報化に警鐘を鳴らす文章
  • 7『流言のメディア史』佐藤卓己(津田塾大):
     AIの正確無比さが人間から自己肯定感を奪うことへの警鐘。

  • あらゆる分野で自らの依って立つ基盤や到達点そのものを疑い、根本的な問いかけの中で新たな再生を目指すという内容の文章が目立った。
  • 4『待つ・耐える』星野太(新潟大):
     ひたすら利潤追求による自己拡大を目指す資本主義社会において、「待つ」ことを拒む現代人のあり方の問い直し。
  • 18『近代・組織・資本主義』佐藤俊樹(大阪大):
     近代日本を自ら相対化して世界史的な流れの中で捉え直すべきだと主張する文章。
  • 23『日本古代文学史』西郷信綱(神戸大):
     古典や文学史が現代に果たす役割を定義し直そうとする文章。
  • 24『体験と告白』小川国夫(京都大):
     言語の限界性を自覚しつつも人間の真実を伝える手段としての新たな可能性を模索する文章。
【古文】
  • 読みやすい文章が多く出題されている。
    →平易な文章を読ませ、基本的な読解力と、内容をまとめる記述力を測るものがほとんど。

  • ②出題ジャンルは擬古物語が減少したが、説話は例年どおり多い
  •  7『沙石集』(熊本大)、10『古今著聞集』(鹿児島大)、11『続古事談』(東北大)、16『発心集』(大阪大)

  • 有名出典からの出題が例年より目立った。
  •  1『更級日記』(北海道大)、2『讃岐典侍日記』(神戸大)、3『十六夜日記』(新潟大)、4・6『和泉式部日記』(名古屋大・京都大)、9『建礼門院右京大夫集』(岐阜大)、14『源氏物語』(筑波大)、15『夜の寝覚』(九州大)
【漢文】
  • ①本文の分量は昨年通り。内容の易化、ジャンルや出題方法など各大学の傾向も大きな変化なし

  • ②出題については、語句の読み・意味や句法・用法の知識が基本。
    問われる句法・用法:反語、再読文字や使役、受身、限定、比況、比較など。
    *本文につけられている読みや送りがなもヒントに。

  • 漢文の知識があると解きやすい問題が出た。
    「髀肉の嘆」(21広島大)←【新傾向】漢詩1つ+漢文2つ、「臥薪嘗胆」(大阪大)、「曲水(の宴)」(筑波大)

  • ④ジャンルは、随筆・評論、説話的文章・逸話・小説、思想、歴史的文章、詩、言行録から出題。
  • 〈随筆・評論〉
  • 19『古文真宝後集』(大阪市立大)、『竹窓随筆』(金沢大)、『日本雑事詩』(岡山大)など
  • 〈説話的文章・逸話・小説〉
  • 18『人虎説』(岐阜大)、『韓詩外伝』(お茶の水)、『東斎記事』(東北大)、『捜神記』(佐賀大)など
  • 〈思想〉
    『准南子』(千葉大)、『新序』(香川大)、『伝習録』(鹿児島大)など
  • 〈歴史的文章〉
    20『史記』(滋賀大)、21『三国志』(広島大)、22『漢書』(東京大)、23『資治通鑑』(九州大)など
  • 〈詩〉
    21『三国志』(広島大)、『懐悲』(新潟大)など
  • 〈言行録〉
    17『貞観政要』(神戸大)など